この音、好きです。
カツコツというより、ティコトコ路線の高い音。
タップダンサーはタマンゴさんです。
このタップ音には、心地よい豊かな響きがあります。
会場自体の響き(アンビエンス)が立派なことも、あるでしょう。
しかし、それだけではないと思います。
今回私が注目しているのは、クリアーな集音です。
そしておそらく、直接集音した音に、リバーブが付加されているはずです。
では、どうやって集音しているのでしょうか。
原音がクリアで、しかも残響が美しく、原音と残響音の混ざり具合のバランスも完璧。
ステージの縁からも距離がありますし、さらに動きますので、集音は比較的困難です。
しかも、床は毛足の短いカーペット敷きのようにもみえます。出音が小さくなります。
でも木材ではない、繊維質のシャッとかスッとかいう音も、しっかり拾えていますよね。
そこで、可能性を1つ1つ考察してみたいと思います。
まず最初に、ブームスタンドで楽器用マイクを一間ほどの間隔に並べるという手法では、なさそうです。
ステージの縁に、スタンドが見当たりません。モニターの影というのも無くはないですが、
スピーカーのすぐそばにマイクを置くのは、非効率です。
次に、高い位置に吊ったステレオマイクです。
ホールでの録音には、よくある手法ですが、これもマイクが見当たりません。
さらにこの方法では、タップの音だけを集音することは不可能です。
次に、タップダンスの集音のために、床下にマイクを入れ込むことは、よくあります。
しかし、この場合は高さがないため不可ですし、主に低音部の重量感を期待してのことです。
フロントの階段部分だけならあり得ますが、出音からもその可能性は、低いと思います。
次に、バンダリーマイク。
基本的な選択ですが、この場合は仕掛けてあったとしても、補助的な使い方になるでしょう。
では、音響スタッフが手持ちのガンマイクで狙っているのでしょうか。
でも、4分46秒あたりを観ても、効率よく狙えそうな場所には誰もいないのです。
そこで最終手段。振動を増幅するピックアップマイクという小さいマイクがあるのです。
ただ、このような振動の伝わりにくいと思われる床に、それを直接置くことはないと思います。
そこで、ピックアップマイクをシューズの足首あたりにクリップで付けているのかも知れません。
衣装がロングパンツなので、擦れないようにしないとですね。
この方法で集音した振動音をワイヤレスでミキサーに飛ばし、AUXチャンネルを経由してリバーブを付加。
ミキサー上で、ボビーさんの歌とのバランスをとり、出力。
などと考察を重ねていると、右腰のあたりにトランスミッターらしい機器を発見。
おそらく最後の方法で、当たってますね。
それにしてもタマンゴさんのタップ、とってもおしゃれで、素敵です。