はじめに
ダンスとは、体の小さな子が不利にならない、数少ないスポーツの1つです。
それは主に、ダンスというスポーツが、アート性を持つことによります。
特にタップダンスは、音が鳴りますので、音楽性が高めのダンスと言えます。
アートやスポーツや音楽には、才能が必要です。
その才能は、全ての人に宿っています。
才能とは、こまめな努力の集大成です。
ダンスにおいての、こまめな努力とは、練習です。
コツコツ地道に練習できること自体も、才能の1つです。
勉強のスキマ時間にダンスを練習すると学習効率も上がります。
スキマ時間を有意義に使えるようになると、日々の生活がより豊かになります。
例えば「ダンスが上手になりたい」などの大きな目標を立てたら、日々の小さな目標達成(=練習)を積み重ねることが大切です。
しかし、なかなか毎日続けるのは難しいものですよね。
そこで、時間の有意義な使い方、スキマ時間の活用が肝となります。
今回は、練習の仕方がわからない方のために、その方法を具体的にご案内いたします。
ここから先は、勉強もダンスも楽しみたいお子様とご家族様が、ダンスを通じてより良い毎日を過ごすためのヒントが見つかることを願って記しています。
「ダンスは好きだけど勉強は…」と感じる方。できなかったことが、できるようになった時の嬉しさを思い出してみてください。
自転車にはじめて乗れた時や、ひとりで靴を履けた時。水たまりをまたぐことができた時や、漢字のトメ・ハネ・ハライが書けた時。
これらは、ダンスと勉強に共通しています。ぜひ最後まで、楽しく読み進んでいただけたら幸いです。
楽しむことが一番
それでは、まずダンスが好きな、小さいお子様について述べていきます。
このような方は、練習と読書が1:1となる割合を目指しましょう(ダンス25分と読書25分を交互に行います)。
「えっ?ダンスの練習だけじゃないの?」と思った方、理由は後述します。
「うちの子は読書はできるけど、算数が苦手で…」とお考えの方は、将棋やパズルの本でも算数の教科書でも、興味の向くままに読んでみましょう。
他にも、楽しく学習できる教材は巷にあふれています。何より人生を楽しむことが一番で、楽しむ手段の1つがダンスの練習です。
しかも「楽しむ」ことには、結構深さがあるので、追求すること自体にも楽しさがあります。
例えば人の話を楽しく聞いて、なんとなくわかった気になっていても、実際には理解できていないことが子どもには多々あります。
その場のコミュニケーションは上手な子も多いのですが、書いてあることを読んで楽しく理解する力は、どうでしょうか。
俳優さんは台本を読み、歌い手さんは歌詞を読んで、登場人物の心の動きを理解して、一生懸命表現することで、私たちに感動を与えてくれます。みんなの学校で日々行われている多くのテストでは、書いてある質問を読んでから答えます。大人になっても情報収集には論文を読むことがあり、会社に入って新しい仕事を覚えるためにはマニュアルも読めなくてはなりません。
つまり読解力は仕事や学業など全ての基本ですので、ダンスと併行して鍛えたい技術の1つです。
ちなみに、ダンスと仲良しの「音楽」は、調和のとれた構成で成立している点では化学や数学に通じ、時間を伴うアートという点では文学に通じます。
ここを楽しめるようになると、音楽を聴くことだけでも、なかなか深い愉しみを味わうことができます。
創造力を鍛える
次に、塾や勉強や部活動が忙しくなってきた、大きいお子様。
こちらは、勉強30分に対してダンス5分の割合からでも効果的です(勉強が90分ならば、ダンスは15分です)。
時々運動を行いながら学習した方が、学習効率が上がることは前に述べた通りです。
ぜひ、ストレッチやウォームアップなど、軽めの運動から始めて行きましょう。
できれば、答えのある問いの正解を導くだけでなく、0から1を生み出す創造的な作業にも着手してみてくれたら嬉しいです。
ダンスでいう創造的な作業とは、振付を創ることです。
音楽に合わせて振付を創ることは、誰の目にも見えない空気の振動を、目に見える動作に変換することでもあります。
当然、創造力や発想力が必要となりますので、それらは学力向上にも直結します。
いま「振付って楽しそう」と少しでも思ってくれた方は、ぜひチャレンジしてみてください。
ダンスと勉強の両立
ここで「なんで勉強?ダンスだけじゃダメなの?」という方の疑問に、お答えしておきましょう。
ダンスだけで勉強をおろそかにしていると、いずれ勉強に支配されてダンスの時間が取れなくなります。
学校の宿題や受験勉強などもサラッと終わって好きなことができれば良いのですが、勉強が身についていないと宿題さえも時間がかかり、通信教材は溜まる一方となるなど、やりたいことの時間が捻出できなくなるのです。
ですから、もし「放課後にはダンスに集中したい」と本気で願うならば、学校にいる間は授業に集中して、授業の完全理解を目指してください。
学習内容に疑問があれば、その場で先生に聞くなどして解決しましょう。わからないことを家に持ち帰らないようにすることが大切です。
すると、好きなことがドンドンできるようになっていきます。あなたの人生は、あなたの思うがままに、やりたいことに熱中できる、キラキラ輝いた時間で埋め尽くされていきます。
人生の選択肢を広げる
「行きたい学校に行けない」「就きたい職業に就けない」。
これらは、地理的に遠く離れた、世界の貧しい国々のことでは、ありません。日本でも未成年の進路選択は、概ね個人の学力に基づいて決定されます。ですから学力を高めておくことは、自らの人生の選択肢を広げることにもなるのです。
但し、学力の向上を塾に委ねてしまうと、自分が本来やりたいことのための時間を大幅に削ることにもなります。
本来やりたいことのための時間とは、才能を育む時間です。
「才能とは自分らしさである」と言い換えることも、できます。
だからこそ、学校に行けるのならば学校の授業に集中することが、より大切になるのです。
ライヴなどでアーティストの輝きに触れ、その世界を目指すことについて、私は支援いたします。
しかし、ダンスでプロを目指すにしても、プロダンサーがダンスが上手いことは当たり前ですので、ダンスが上手なだけではプロにはなれません。
現代のエンターテインメント界では、人間性や教養も求められます。
教養を身につけるといっても、堅苦しく考える必要は、ありません。
あなたの経験の全てが、あなたの表現のプラスになります。
繰り返しになりますが「楽しむことが一番」です。
とにかく自分に合った方法で、できることから始めてみましょう。
8つの練習方法
(1)ウォームアップ、アイソレ(体の各部位を個別に動かす)を行います。
(2)シャッフルやフラップでのリズムキープや、タイムステップなどの基礎練習を行います。
(3)レッスンで習ったルーティンや振付をカウントで、ゆっくり練習します。
(4)練習中の曲に合わせて踊ったり、自分で振付を考えたりします。
(5)お風呂上がりにストレッチします。
(6)シューズを陰干し、汚れていたら手入れします。
(7)音楽を楽しみます。
(8)人生を楽しみます。
*(1)を省略しないようにしてください。ウォームアップが不十分ですとケガをしやすくなります。
*(2)は、上手になっても基礎練習は永遠に大切です。
*(3)については、レッスンから時間が経つと忘れてしまいますので、早めの復習がオススメです。
*(4)は、単に動きを真似しているだけの「ムーヴ」か、基礎から理解して踊っている「ダンス」かが分かれるところです。そして創作力も磨いてください。
*(5)は、シャワーよりお風呂が効果的です。十分にケアして、疲労を翌日に残さないようにしてください。
*(6)は、道具の手入れは上達の基本です。感謝を込めて行いましょう。
*(7)は、タップダンスとは音楽でもありますので、音楽そのものをしっかりと身体に入れ、音を感じる力を養いましょう。
*(8)は、ダンスは身体表現ですから、表現するためにはいろいろな経験が糧となります。ぜひ今の一瞬一瞬を主体的に楽しんでください。
(1)から(6)までを全て行うと、少なくとも合計1時間ほどは必要ですので、前述の割合に従えば、1時間のダンス練習で最大6時間の勉強が、できることにもなります。
これを小学生のうちから習慣付けておくと、受験をする頃には、きっと勉強もダンスも大好きになっていますよ。
保護者の方へ
お子様が練習や勉強をしていたら、保護者の方は必ず褒めてあげてくださいね。
褒められると嬉しくなって、いっそう楽しくがんばってくれます。
家族からの褒め言葉が、お子様の何よりのエネルギーになるのです。
お子様がダンス練習を通じて身につけた技術や知識や時間の使い方は、生涯にわたって、お子様を支え続けることでしょう。
なお、ダメ出しは控えてください。どうしても口を出したくなったら、練習を動画にとって、お子様にみせて、お子様がどのように感じるかを観察し、お子様の求めに応じてアドバイスやサポートをする。それで十分です。
これからはAI・人工知能の時代です。だからこそ、AIの苦手な分野であるダンスやアートは、益々価値が高まるでしょう。
今回お示ししたような練習方法で培ったダンスは、きっと将来お子様を助けます。
「乳児は肌を離すな、幼児は手を離すな、少年は目を離すな、青年は心を離すな」といいます。
親子の信頼関係を大切にして、世界にただ一人のお子様が、存分に楽しむことのできる環境を築いてください。
ダンスを通じて、素敵な親子の時間が、ひときわ輝きますように☆
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
ボーグ・エンターテインメント・スクール 土井一朗