ダンサーの食事について記します。
アーティストであり、アスリートでもあるプロダンサーのほか、普段は仕事を持ちながら、ダンスに取り組む人も増えてきました。
身体のコンディション管理は、年齢を重ねても良い踊りを楽しく長く続けていくために、とても大切です。
ここでは栄養の深淵な世界を、ダンスを踊る方々に向け、わかりやすく端的に述べていきます。
キーワードは、高たんぱく・低脂質
まず大切なこと。それは「高タンパク・低脂質」です。
しかし数ある食品の中で、何が多くたんぱく質を含んでいるのか。
そのことを覚えるよりも、脂肪の摂取を控えることの方が、より簡単です。
ですので、ここでは最初に取りかかるべき「低脂質」から説明します。
脂質は大切。だけど摂りすぎないよう控えめに。
まず脂質は、とても大切な栄養素の1つです。
また、「たんぱく質、脂質、炭水化物」は、三大栄養素と呼ばれています。
ダンサーにとっても、スムーズな動きのために、多少の皮下脂肪は必要です。
しかし、現代の食生活では脂質が多めで、やや摂り過ぎてしまう傾向にあります。
さらに巷では「〇〇ダイエット」として無理な方法が溢れています。
無理な方法でダイエットをしても続きませんので、余計にバランスを崩します。
「適度に運動して、食事も楽しみながら引き締まった身体を維持する。」ことが大切です。
そもそも大人は、加齢とともに代謝が落ちるので、鍛えにくく、太りやすくなります。
ダンサーは、これらを受け入れて、うまく付き合っていくことが求められます。
では、どうすれば脂質の摂取を控えられるのでしょうか。
コンディションを維持しながら食べてスタイルアップ
ここでは、身体のコンディションを維持しながらキレを増し、スタイルアップしていく方法を「食材、部位、調理法、調味料、時間帯、順番」の6つの視点から、ご提案します。
1)食材に注目する
食材に含まれる脂質をもとに(多)>(少)と比べてみましょう。
まず大まかに分けると「肉・魚>野菜」です。
牛や豚の脂質よりは、魚の脂質の方が、今回の目的には適しています。
そして、肉(牛・豚・鶏)の中では、鶏肉がベストです。
また、牛・豚のかたまり肉は脂身を取り除くことで、脂質の摂取量を抑えることができます。
このように、食材から少しづつ控えていくことができます。
2)部位に注目する
代表的な部位では、牛肉ならば「サーロイン>ヒレ」、豚肉ならば「バラ>ヒレ」、鶏肉なら「モモ>胸>ささみ」になります。
なお、鶏の胸肉は、脂質の塊である皮を取り除く方がベターです。
つまり、野菜を中心に、肉を召し上がる時は鶏肉と魚を中心に、なるべく脂質の少ない部位を選ぶと良いでしょう。
このように、部位からも少しづつ控えていくことができます。
3)調理法に注目する
脂質は、食材だけに含まれるものではありません。
調味料や調理法によっても、脂質の摂取量は大きく変わります。
含まれる脂質をもとに(多)>(少)と比べてみます。
一般的に「揚げる>炒める>煮る>茹でる・蒸す」です。
つまり、トンカツよりは豚汁。
フライドチキンよりは蒸し鶏のサラダ、といった具合に判断することができます。
4)調味料に注目する
脂質を多く含む調味料としては、マヨネーズがあります。
つまり、ポテトサラダよりは粉ふきいもが、適しています。
また、一般的にディップ(味のちょい足し)は、太る傾向にあります。
鶏の唐揚げにマヨネーズつけて・・・なんてダメですよ〜。
5)時間帯に注目する
1)から4)を面倒だなと感じている方。
朝・昼などの活動中は、比較的好きなものを召し上がっていただいても大丈夫です。
細かいことは気にせず、揚げ物やコッテリしたものが食べたい時って、ありますよね?
その場合は、ランチまでにしましょう。夜の揚げ物・多脂質はリスクです。
そして、ダンサーは夜型生活になりがちですが、就寝の3時間前には、夕食を終わらせておきましょう。
すると、翌朝起きた時に、そこそこお腹が空いているはずですので、朝食も美味しくなります。
6)順番に注目する
食事を召し上がる順番は、野菜が最初です。
その目的は、緩やかに血糖値を上げることです。
その前に、料理を目と鼻で楽しむことも忘れずに♪
気持ちのゆとりが大切です。
そして、いよいよここからは高タンパクの話です。
たんぱく質を多く含む食品
前述の通り、たんぱく質は3大栄養素の1つです。
たんぱく質を多く含む食品は、端的に申し上げて「豆、芋、卵、魚、肉」などの、おかずです。
食事はバランスが大切ですので、あまり特定の食材に偏らないようが良いでしょう。
これらからして、焼き魚、豆腐、味噌汁といった和食は、とても優れたアスリート食に、なり得ることがわかります。
炭水化物の摂取について
主食は「ご飯かパンか」ならば、ご飯の方が比較的低脂質です。
なお、かつて流行した炭水化物抜きダイエットは、オススメできません。
前述のように、炭水化物も大変重要な栄養素の1つです。
炭水化物は、いろいろな食材に含まれますので、抜くことは通常できませんし、その選択は賢明ではありません。
細かいことは気にしすぎないで、まず食事を楽しむことを心がけてください。
<追記>
血糖値の上昇を緩やかにする低GI食品の選択を心がけることも効果的です。
例えば「白米より、玄米。うどんより、そば。」といった具合です。
カロリーについて
「高タンパク・低脂質」を心がけるにあたり、摂取カロリーと消費カロリーのバランスが、とても大切です。
まず、生命維持に必要な基礎代謝というものがあります。
基礎代謝に最低限必要なエネルギー、それが成人男性で約1500kcal、成人女性で約1200kcalと言われています。
ですから、カロリーを急に減らしすぎてはいけません。
ダンサーは、運動もしますから、少しくらい多めに摂ってもバランスがとれていれば大丈夫です。
くれぐれも、急激な体重の変化が起こらないよう、緩やかに調整することを心がけてください。
理想的な体脂肪率について
ダンサーにとって理想的な体脂肪率には個人差があります。
ただ、絞りすぎはケガなどのリスクを高めます。
概ね男性なら6%、女性でも15%を切ると、怪我をしやすく、風邪などもひきやすくなります。
しかし、体脂肪率が高すぎると動きがもっさりしてきますので、ここは各自の調整になります。
理想としては、男性プロダンサーで10%から18%、女性プロダンサーで20%から28%くらいの目安で良いのではないでしょうか。
女性の場合は、くれぐれも1桁にならないように注意してくださいね。
なお肥満防止には、成人男性なら30%以下に、成人女性なら40%を超えないことが目安です。
おやつ・間食について
おやつのスナック菓子はリバウンドの元です。どれも「低タンパク・高脂質」ですので。
食事で脂質を我慢しても、おやつで脂質を補給していては、本末転倒ですよね。
どうしてもお腹が空いたら高タンパク・低脂質の代表的おやつ、ささみのスモークチキンを1本が理想的ですよ♪
アルコールについて
お酒の摂取をやめると、比較的簡単に身体を絞ることができます。
摂取カロリーや栄養、コンディション管理の面からも、控えめを心がけるのがよいでしょう。
仮に毎日呑んでいたら、週一回、月一回と減らしてみては、いかがでしょうか。
なお、お酒に酔って踊ることはケガのリスクがありますので、絶対にやめましょう。
美味しく食べて、適度に運動
上記を目安に食事を楽しむことによって、食の好みが変わり、引き締まった体型を維持しやすくなります。
中には、暴飲暴食をした上で、激しく動く人もいますが、そういう無茶ができるのも35歳くらいまでです。
ダンサーにとってはストレッチと同じくらい、食事も大切です。
そして、体型を絞る場合、焦りは禁物です。
もし太ってきたと感じるなら、それと同じくらいの時間をかけて、緩やかに自分の理想に近づけていくことが良いでしょう。
心のコンディションが崩れないように、あまり神経質にならず、楽しんで行ってください。
「美味しく食べて、適度に運動。」
これが、人生を楽しむ上で、一番の基礎となるのではないでしょうか。
ダンスでもっと輝く人生を☆